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写真家・尾崎大輔のblog


by daisukeozaki
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カバラ

ボルヘスの本を読んでカバラという神秘主義思想を初めて知った。

カバラは世界を一冊の書物と考えるような思想である。

カバラ学者曰く、カバラに影響を与えた要因として言語が考えられる。神が光あれと言って、光が創られたわけである。自分の言葉を道具として世界を創造したのであるから、言葉である「光」が別の言葉で、別の抑揚ならば違ったものが出来ていたことになる。
カバラのおもしろいところは言語の絶対性を重んじるために私達と逆の言語論理を用いている。普通、文語よりも口語が先行されると思うが、カバラにおいては文語、書かれた文字が発話よりも先行すると考えられる。もちろん、この文語先行により矛盾も生じてしまうのだが。
また、カバラはグノーシス主義と似ていて、悪を創造している。

ピタゴラスも釈迦も最後まで書物は残さずに死んだ。今、私たちの出ている書物は死後弟子たちが彼らはああいっていましたと言って、作ったものである。
思うに、文字で残すということの危険性を分かっていたのではないか。
神聖化された人物の書く書物が死後、絶対化されることを。

少し話は変わるが、絵画、写真などの視覚藝術と文字の関係も危険性を孕んでいる。キャプションを見た段階でその世界観はある程度鑑賞者に制限を加えてしまう。

昨日、名和晃平展を観に行って、ちょっとそう思った。
by daisukeozaki | 2011-08-05 19:26 | Comments(0)