写真家・尾崎大輔のblog


by daisukeozaki
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<   2011年 07月 ( 6 )   > この月の画像一覧

中井久夫のエッセイは簡単に書店で手に入るものはだいたい読んだ。
フローズン・ウォッチングフルネスも彼の本からの耳学問。日本語に直すと「凍れる警戒性」。

東北の大震災があり、数多くの被災者が心の傷をおった。
中井は、重症の心的外傷患者に対して痛いほど感じるのは、「基本的な安心感」の欠如であると言う。
震災の被災者には明日が今日のように来て去ることが信じきれない。大地が揺るがずにあることも信じきれない。
私達は、この時間と空間についての無根拠な安心感をもち得て初めて生きていける。電車は無事に目的の駅に着くという仮定、父親が娘をいきなりレイプしないという仮定、すれ違いの人間がいきなり包丁で刺してこないという仮定。これらが揺らいだ場合どうなるであろう。しかし、現実問題としてこの安心感が欠如された被災者がいるであろう。

このようなトラウマ患者にみられるのが「凍れる警戒性」という、金属的な仮面のような無表情と主に眼差しなどに表れる警戒性との組み合わされた表情だという。統合失調症や統合失調症気質の表情と間違えやすく、しばしば長期にわたって、時には生涯をつうじ恐怖のままに凍りついた表情がその人の普段の顔となってしまう。中井久夫が思い起こすのは10歳から数年間、異父兄に性的いたずらをされたヴァージニア・ウルフの写真だと例に出している。

私がこれを読んで、ぱっと頭に浮かんだのはユダヤ人大量虐殺のホロコーストにおいて、無差別に選択されたユダヤ人を銃殺していく時にその選択を待つユダヤ人男性一人の表情。まさに「凍れる警戒性」の表情であった。何で見たのか記憶が定かではないが、その目が脳裏に焼き付いている。
私自身がそのような「凍れる警戒性」の表情を撮影したことはない。統合失調症やトラウマをもつ方とお会いすることはあるが「凍れる警戒性」という表情をもっている人は会ったこともないであろう。
撮影する場合は長期間一緒にいるので、最初はどんなに緊張していようが誰しも自然と表情がほぐれてくる。
もし、「凍れる警戒性」の表情をもつ人に会ったならば、その人の笑顔を撮影しようと努力するだろう。
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by daisukeozaki | 2011-07-28 21:06 | Comments(0)
渋谷のシネマライズにて鑑賞。結構お客さんが少なく、2つ隣のお姉さんは足をおおっぴらげに伸ばしかなりくつろぎながら鑑賞していた。
ロンドンに住んでいた時、イーストロンドンでリバプールストリートの近く、ショーディッチというエリア近くに住んでいたことがある。今は違うが、そのエリアは昔スクワッター(イギリスで空き家に勝手に侵入し、住み着くホームレスのような人達。イギリスは空き家でも水道や電気が止められないので、こういう人達が結構いる。イメージとしてはトレイン・スポッティングの麻薬の売人の家。)として若手アーティストが集まっている場所だった。映画にも名前だけ登場するダミアン・ホーストなども無名の時代には住んでいたらしい。バンクシーもよくそのエリアに遊びも兼ねて来ているらしく、そのエリア周辺には彼の作品がたくさん観られ、よく飲みに行っていた僕にとってはロンドンの一風景という感じ。テート・ブリテンに勝手に展示したり、イスラエル、ガザ地区の壁に落書きしたりする活動もおもしろいなーと思い、見ていた。

このようなバックグラウンドがあった上で映画を観た感想ですが、実にバンクシーらしい現代美術・藝術を皮肉った映画だと思った。藝術関係に関する仕事をされている方には一度は観た方がいい映画。
この映画は、美術の分野だけでなく、様々な分野、日本の映画の分野についても通じるものがあるように思う。仮に映画作りに関して才能もない普通の古着屋の店主が、財力でスタッフを集め、大々的な宣伝をし、バンクシーのようなカリスマ監督から推薦文をもらい、映画を完成させる。そこにきちんとした批評がないとなると、審美眼の乏しい一般の人が作品を公正に判断するのは難しいと思います。ネタばれかもしれないが、まして、2作目にマドンナのようなセレブリティ女優が出演を熱望していると聞けば、尚更。ある程度の体裁が整っていれば、いい映画となってしまう。
誉めることは誰でも出来きるが、真正面から日本でこの作品は良くないと言える人は少ない。日本美術の世界もそうだけど、きちんとした批評を出来る人はかなり限られており、一般の人までその批評はなかなか届かず、有名人の発信した情報をそのまま鵜呑みにしている状況。たぶん、誰しも、現代アートの展覧会を観に行って、なぜこれがと思った経験があると思う。

そういった意味で、自戒を込め、藝術関係などで仕事をされている方にはお勧めの映画!!

話は少し変わる、つい先日、渋谷駅の岡本太郎の絵に貼り絵をしたり、広島の空に「ピカッ」という飛行機雲を作った「Chim↑Pom」というアーティスト集団が日本にいるが、バンクシーとちょっとかぶるかもしれない。Chim↑Pomはもっと美術界のメインストリートを進みながら、計算してゲリラ的活動を行っているように思うけど。
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by daisukeozaki | 2011-07-27 21:22 | 映画 | Comments(0)
今日、「大鹿村騒動記」を観ようと新宿バルト9に行ったのだが、1時間前なのに満席で入れなかった。原田芳雄効果とはいえ、平日の昼間で入れなかったのは初めて。もうちょっと公開本数を増やしてくれないかな・・・。

ということで、帰りに『ローラーガールズ・ダイアリー』をDVDで借りて鑑賞。
17歳のしつけの厳しい母親の元で育った女の子が主人公。ある日、たまたま行ったお店でローラースケートのチラシを見つけ、どんどんとローラースケートにハマっていくというお話。

時間が空いている時に楽しく見る映画としてはお勧め青春映画。
ちょっと、一カ所突っ込みたいところはあるが(少しネタばれですが、彼氏がどうなったのか気になる。)それを全くもってカバーできていると思う。
特に、映画音楽が僕が17歳の頃に丁度聞いていたものが多くて、かなりノリノリになってしまった。
プラス、主人公やキャスト全体がそこまで、美男美女がいないというのがかなり良かった。リアリティとして、こういう街とかってあるよねと親近感が湧く。

恋に遊びに一生懸命な主人公にちょっと憧れた。こういう時代は誰しも経験しているじゃないかな。
今週末の時間つぶしにはお勧め映画です。
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by daisukeozaki | 2011-07-21 22:35 | 映画 | Comments(0)

荒川修作とシャガール

twitterだとやはり文章を書くには文字数が少なすぎて僕には合わないかもと思い始めたので、blogメインで文章をまた書き始めます。

よく携帯電話を家に忘れると不安になるという人がいるが、私の場合、外出時に本が手元にないと不安になる。ちなみにカメラは特別な日というか、撮影する日しか持ち歩かない。いまだに作品はフィルムのカメラを使っていて、以前はよくカメラを持ち歩いていたが、森山大道さんの若いときのように、100mを歩くとフィルムが一本なくなるほど撮っていた時期もあったので、お金がかかりすぎたためやめてしまった。

荒川修作がシャガールのアトリエに起居していた時の出来事。
シャガールはそのとき、94歳で朝早くアトリエに来て、鉄のパレットを使い、そこへ色を盛り上げ、キャンバスに色をどんどんと塗っていった。夕方まで続け、その後、部屋をくまなく掃除し、雑巾をかけ、パレットを洗い、帰っていく毎日。
ある時、荒川修作が見かねて、俺が掃除をするといったら、シャガールじいさんが「俺を殺す気か、これをやっているから俺は今まで生きているんだ」と言ったらしい。

荒川修作も自分の作品は藝術ではないという。そんな悠長で暢気なものではないと。自分が死なないために続けるものだと。

僕もお金がかかるからとかじゃなく、カメラ持ち歩こうかな。
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by daisukeozaki | 2011-07-16 21:21 | Comments(0)
<第三回 視覚障害者と一緒に楽しむ写真教室>

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前回も多くの方に参加していただいて、御好評頂いた写真教室を10月に開催致します。視覚障害者の方だけではなく、様々な方に参加していただきたいので一般の方も参加頂ける写真教室となっています。色んな人と出会ういいコミュニケーションの場になれば幸いです。場所は調布駅から神代植物公園に移動して、楽しく撮影会を行う予定です。
一般参加者で展覧会などを目標にされているぐらいの既に写真が詳しい方は、別途今まで撮影したご自身の写真やポートフォリオなどをお持ち下さい。昼食などの時間にそれに対する感想、アドバイスなどをお伝えします。
世の中を様々な視点で見ることがどれだけ興味深いことか体験できる1日になることを期待しています。
参加者には後日、当日撮影した写真の数枚を凹凸コピーしたものを差し上げます。
ご興味などございましたら、お気軽にご連絡下さい。


日時:10月23日 9:00〜16:00
集合場所: 調布駅北口のパルコ前に9:00集合
参加定員:最大30名
参加費:2000円(交通費、昼食代、写真現像代などは個人でご負担をお願い致します。介助者の方は参加費は無料です。)
募集締め切り:10月18日
講師:尾崎大輔(http://www.daisukeozaki.com/)
追記:カメラは各自ご持参下さい。お持ちでない方は使い捨てカメラでも結構です。視覚障害者の方は出来ればデジカメを御持ち頂ければ幸いです。入園料などが無料になるため、障害者手帳をお持ちの方はご持参下さい。
主催:日本視覚障害者芸術文化協会
申込先:080-6507-7746 もしくは info@daisukeozaki.com
(お申し込みの際、必ず介助者の方が同伴するかお教え下さい。いらっしゃらない場合はこちらで手配致します。)
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by daisukeozaki | 2011-07-11 21:06 | Comments(0)
ヒューマントラストシネマ渋谷にて鑑賞。節電のため、映画館に入っても結構場所によっては暑かった。
同監督の「21グラム」、「バベル」は観ていて、群像劇とは違った今回は主人公役のバルデムがどのようなものかと思いながら鑑賞。

前評判通り、ハビエル・バルデムの演技は良かった。特に「ノーカントリー」のシガー役の演技が印象に残っていたので、今回の人間臭く、弱さをもろに見せていく役はすごく良かったと思う。ただ、職業を霊媒師としたことが僕はちょっとと思ってしまった。ストーリー的な必然性は分からなくもないが、これほど真面目な主人公ならば、なんらかのきちんとした仕事をしてそうなもんだがと思ってしまった。

後、気になったのは映画音楽。もうちょっと長回しで感情移入したい時にすぐに音楽が聞こえてくる。もう少したんたんととってもこの映画ならば良かったのでは。

いくつかあーだ、こーだ言いましたが、全体を通して、そこまで悪い映画ではなかった。現代では英雄的死はなくなったとリルケが言うように、たんたんと死に向かって進んでいく。僕も死ぬ時こうなるんだろうなと感じた。

まぁ、DVD出たら観てもいいんじゃないっすかぐらいの映画でした。

8月中旬から「ツリーオブライフ」や「未来を生きる君たちへ」などが公開されるので、来月は映画三昧になりそう。今月中に出来れば、想田監督の「Peace」も観に行きたい!!
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by daisukeozaki | 2011-07-07 22:43 | 映画 | Comments(0)