写真家・尾崎大輔のblog


by daisukeozaki
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和田さん、読みましたよ!!

知人同士がtwitterでトマス・ピンチョンを話題にしていて、ピンチョンに関連しているということでこの著者を紹介していた。
それに反応し、アマゾンで即購入、読了。

表題作で著者は新潮新人賞を受賞している。
「四十日と四十夜のメルヘン」を読んで、これは確かにピンチョンと感じた。読み進めるうちに時空を超え、新たな世界へと足を踏み入れてく感覚がまさにピンチョン。それが一番印象に残った。
後、途中、日記調で同じ日を様々な角度で描写するくだりは実験的文章として非常に面白かった。
例えば、このFacebookもそうであるが、何か普段の日常と違ったことが起きなければ、更新をしない人も多々いると思うわけだが、そうではなく、何の変哲も無い日常を重複させ、色んな視点から描くことによって、あたかも非日常させる、それだけの筆力は十分に感じれた。

また、収録されているもう一つの作品「クレーターのほとりで」も少しスタイルは違うが、日本語による実験が多分に見られる。それによって新たな神話を生み出そうとする著者に非常に才能を感じた。

ただ、私個人としてはあまり合わなかったかな。。。
確かに文章も実験的におもしろいし、新しい小説であると思うが、人間描写を多分に好きな私としては好みのタイプの本ではなかったかも。

ただ、非常に才能のある作家であるのは確かだし、人によって絶賛するのは十分理解出来る。
実際読んで、自分にあうかどうかを確かめるには十分価値のある本です!!


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by daisukeozaki | 2013-03-22 20:35 | Comments(0)
「黄金の少年、エメラルドの少女」 イーユン・リー

素晴らしい短編集。

前作の短編集「千年の祈り」にあった中国、もしくは文化大革命などの私達個人がどうしようもできない大きなうねりの中で生きていく人間達を描いていた。
今回の「黄金の少年、エメラルドの少女」ではそういった大きな潮流の中で生きていく人間描写ではないが、何か少し非日常的なことが起き、それによって現実を見つめ直す人間が描かれている。そして、その非日常は誰にでも起こりうるようなものばかり。

娘を失い、年齢からも新しい子どもをあきらめていた夫婦が中国で代理母をお金で雇い、子どもを作ろうとする「獄」、兵役の中で自分の今までの人生と周囲の人間関係を見つめていく「優しさ」など全9編を収録。

彼女がある小説家を評してインタビューでこのように答えている。
「人は他者のことを想像できなくてはいけません。作家だけではありません。読者にとって、人間にとって他者を想像出来ることは重要です。・・・・彼は書いて何かを訴えているわけではありません。観察者なのです。・・・・ただ人間にとても興味があるだけです。私も同じように興味があり、同じように人間性の持つ謎に関心があります。だからこそ小説を書くのです」
こりゃ、僕が好きになるっすわ。 

現代版チェーホフ!!素晴らしい!!


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by daisukeozaki | 2013-03-20 19:16 | | Comments(0)
フランシス・ベーコンの展示を観に行ってきました。

昔、イギリスいる時によくTate関連の美術館に行っていた。少し前に森山さんとウィリアムクラインが展覧会をしたTate Modernとテムズ川をはさんで少し離れた所にTate Britainという美術館がある。
初めて行った時に印象的だったのが、父親を殺して精神病院で絵を書き続けたリチャード・ダッドの絵と、名前は忘れたが目隠しをした天使が月か惑星みたいな星の上で竪琴を抱いている絵だった。
そしてもう一つがフランシス・ベーコンの絵だった。
一つの大きな部屋に全て彼の絵が飾られていて、平日はほとんど誰もいないため、部屋の中央においてあるソファに座り、一人でベーコンの絵に囲まれながら、一枚一枚を鑑賞していた。
リチャード・ダッドにもいえることであるが、そこには人間の中に住む‘何ものか’が描かれているように思えた。

今回の展示もベーコン好きは行った方がいいと思う。
展覧会的にはベーコンからインスパイアされたとかで、土方巽とウィリアム・フォーサイスの映像が流れていたが、必要ないなぁと思ってしまった。

ベーコン繋がりで少し写真家の話になると現代だとやはりアントワン・ダガタの写真がすぐに頭に浮かぶ。たまに私のヌードの写真が似ているといわれるが、現段階では彼の写真の足下にも及ばないと思う。
ラットホールから出版したSITUATIONSの時ぐらいまでならば、なんとかなるかもと思っていたが、去年出したiceをみた時にここまで「タナトス」が出ている写真はちょっとやそっとじゃ撮れないなぁと感じた。
ドラッグディーラーで売春婦の女性とのSEX描写から始まり、自分自身が薬漬けになっている写真など何十パージも続く闇の世界である。薬のやりすぎか、現在ほとんど片目は失明しており、もうひとつの目もかなり弱視だと聞いたことがある。
タイトルの「ice」は覚醒剤の俗語である。溶けるなどの意味もあるかもしれないが。

写真はベーコン展のチラシと、アントワン・ダガタのANTICORPSという最新の写真集の中身の一枚。

写真集「ice」はこのサイトである程度みることが出来ます。
http://vimeo.com/44304292

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by daisukeozaki | 2013-03-13 22:42 | Comments(0)