写真家・尾崎大輔のblog


by daisukeozaki
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昨年読んだ本の中でベスト1
「殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件」 (清水潔・著)(写真の左側)

桶川のストーカー殺人事件で警察や大手メディアより先に犯人を見つけ出し、さらには警察の不祥事を暴き出し、今のストーカー規制法成立のきっかけを作り出した記者の新刊。

北関東一体で起った5件の幼女誘拐事件。その中の初めの4件は既に遺体となって見つかっており、最後の1件は未だ行方不明。
県をまたいでいるため、今まで連続事件だと思われていなかったが、この事件を著者は連続誘拐事件だと考え、取材をし始める。
ただ、3件目の誘拐殺人事件は既に犯人は捕まっており、証拠としては犯人とDNAが一致しているという。著者はこの3件目が冤罪ではないかと考え、杜撰なDNA型鑑定を覆し、犯人として捕まっていた菅家さんを釈放へと導く。
これが「足利事件」であり、これだけでも十分すごいことなのだが、著者はさらにそこから取材を進め、真犯人とおぼしき人物を特定する。
そして、真犯人のDNAと殺人犯のDNAが一致するところまで調べ上げる。

しかし、未だにこの真犯人と思われる人物に対して、警察は動いていない。
それはなぜなのか?そこには国家制度を揺るがせかねない裏のお家事情が見え隠れする。

問題点をいえば、最後の方の「飯塚事件」の記述が弱いという点。
ネットで調べて分かったが、DNA型鑑定以外にも色々と「飯塚事件」に関しては証拠も上がっているため、「足利事件」と同様には扱えないと思う。

ただそれを考慮に入れても、真犯人と思しき人物をそのまま自由にさせておく理由には全くならない。警察がそのまま闇に埋めかねない事件の一つ。
一人でも多くの人に読んでもらいたい、お勧めの一冊!!


ちなみに同じ著者の「桶川ストーカー殺人事件−遺言」(新潮文庫)も記者の教科書のように言われている本なので、すごくお勧めです。文庫版のあとがきの後に、被害者の父親の文章も載っているので、文庫版の方がお勧めです!!(写真の右側)

この著者はもとFOCUSのカメラマンで、「桶川・・・」の方でヤクザ200人にすごまれた話も載っていたが、ある取材の時に数人だけだが私もすごまれた経験があるので、その怖さに何となく親近感が湧いてしまった。

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by daisukeozaki | 2014-01-15 13:09 | Comments(0)
「アール・ブリュット アート 日本」(監修/保坂健二朗)
「生きていく絵」(著者/荒井裕樹)

人間はなぜ表現をしようとするのか?
私がアール・ブリュットに興味があるのはその1点である。彼ら・彼女らはその欲望がよりダイレクトに鑑賞者に伝わってくる。
私自身、現在は視覚障碍者の写真という活動だけでなく、非常勤で絵画活動を行う福祉施設でも働いているので、現場をどちらかというと知っている方だと思う。
「生きていく絵」の平川病院の造形教室でボランティアをしている方も知人にいる。

私自身が主に関わっているのは知的障害の方達のアートで、日本では知的障害者のアートと精神障害、精神病を煩う方のアートが結構分かれていると思う。
海外では主に精神障害の方のアートをアール・ブリュットとして扱うことが多いが、日本では知的障害者の方のアートを主に扱っている。日本では精神の方は自 分自身で色々と判断出来る方が多いので、アール・ブリュットの枠ではなく、一般枠の公募展などに出展している方も結構いるというのは聞いたことがある。
作品の発表ということに関しては知的障害者のアートの方がより家族や施設職員、関係者によって支えないといけない部分が大きいため、日本では福祉施設がそ の役割を引き受けることが大きい。私の行っている施設でもそうだが、描きあがった作品を全部棄ててしまうので、それをゴミ箱から引っ張り出してくるのが職 員の仕事になっている(それを作品にしていいのかという意見はあると思うが、作者本人はゴミ箱から拾い出して展覧会などで展示をすると、満面の笑みを浮か べている)。「アール・ブリュット アート 日本」の企画をしたNO-MAは滋賀県にある美術館で、滋賀県自体が自治体としてかなりバックアップしてお り、関西の方が障害者アートを扱う福祉施設が多い印象を受ける。

そもそも、アール・ブリュットの定義自体が非常に難しい。
ざっくばらんに広義的な意味では、正規に美術教育を受けていないアートのことをさし、今は障害者の方のアートをさしているのだけど、草間彌生の作品をアール・ブリュットかというと、判断がかなり難しい。
それぞれの本の感想。

「アール・ブリュット アート 日本」(監修/保坂健二朗)
学芸員の方や美術の専門家の方が色々と美術史の中で定義しようとしたり、アール・ブリュットを定義しようとしたりしているけど、現場の人の話の所がやはり一番面白かった。私も思うに制作の場も含めて、一つのアート作品だとも思う。

主に知的障害を持つ方などは何か自分の好きなものを‘記録’しようとして絵などの表現に繋がっているように思う。写真ではそこに写っているものがあまりに も自分の見ているものと違うので、‘記録’にはならず、違う表現ツールを使っている。ただ、今回のポコアート展もそうだったけど、コラージュ作品は多く なっている。
精神の方と比べると、自分が表現したいものがよりダイレクトに作品に反映される印象。

「生きていく絵」(著者/荒井裕樹)
どちらかと言えば、こちらの本のほうが面白かった。表現活動をしている方にはお勧めの本です。

「芸術とは、治ってはいけない病気なのだ」(本文より)
『「アーティスト」とは、「自分の思いを的確に表現出来る技術を持った人」ではなく、むしろ「自分自身の表現に、自分自身が驚くことが出来る人」なのではないだろうか。』(本文より)

彼ら・彼女らは自己表現という明確な何かがあり、作品制作をしているように思える。作品でしか社会に対して自分を表現出来ないような感がある。ただ、自己から作品がダイレクトに出てくるかというとかなりの屈折があるように見受けられる。
そこがさらに私を引きつけるのだが。
心のアート展が今まで毎年開かれていたのだけれど、今年からは2年に1回になると言っていたのが非常に残念。


「ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理」(著者/バートン・マルキール)

仲の良い編集者が昨年から株をやり始めて、私自身も便乗して口座のみ開いて、未だ手をつけていない。
とりあえず、色々と本を読んだけど、かなり有名な本なのでこちらを紹介。

この著者はざっくり言うと、企業価値を四季報などから分析して投資を行う、ファンダメンタル分析やよくテレビなどでみるような棒グラフのチャート分析によって投資をするテクニカル分析を否定する。
結論から言うと、現在投資商品としてある幅広く多くの銘柄に分散して投資を行えるインデックスファンドに投資をしてひたすら待てば良いというもの。さらに言うと、ドルコスト平均法をいう毎月一定額を高かろうが安かろうが買い増ししていけば良いという。

他にも最後の方には具体的な銘柄も出てくるので、興味がある人は読んでみては。

ただ、いつから始めればいいのかと思うと、私のような小心者はなかなか踏み出せず。


「レディ・ジョーカー」(著者/高村薫)

私の知り合いの禅僧と対談していて、NHKの未解決事件ファイルの「尼崎事件」でリポーターのようなことをしていて、興味を持って、購入し読了。

森永グリコ事件を下地にした小説。
ストーリーで引っ張るタイプの小説だけど、細部のディテールがすごくしっかりしているので、本当の事件もこんな感じだったのかもと思わせる。かなりぐいぐいと引っ張られた。

去年の暮れに起った餃子の王将の社長射殺事件。
犯人は拳銃を使えるプロと推測されているが、それが暴力団ではなく、警察関係者であったならば、どうであろうか。また、実は餃子に毒を入れると企業自体に脅しがあって裏取引をしていた場合はなど、この本を読んだ時期と近いだけに、色々と推測してしまった。

親父が読んだ高村薫の他の本を実家で見つけたので、桐野夏生の本と一緒に大量にパクったので、そのうち他のも読みます。

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by daisukeozaki | 2014-01-05 21:59 | Comments(0)