尾崎的映画紹介 『四川のうた』 ジャ・ジャンクー監督
2010年 12月 22日
四川の420工場を舞台にそれに携わった人々のドキュメンタリー。
インタビュー中心で、まるでドキュメンタリーとは思えないエッヂの効いた撮り方。まず、はじめにインタビューをする人の長回しのカットで始まり、インタビュー自体も構図が考えられた形で撮影されている。こういう風にドキュメンタリーも撮れるんだと感心してしまう。
長回しのカットが写真のようで、映画全体のトーンは染谷学さんのニライみたいな感じで好感を覚えた。
子供を置き去りにせざるおえなかった女性のインタビューと工場で働く母親を見た女性の話が印象的。特に後者は最近自分の身におこった出来事と少しシンクロしてしまい、かなり感情移入してしまった。
四川の工場という小さなところから中国全体の動向をかいま見せる映画だと思う。過去の映画なので、四川の大地震が起ったため、彼ら・彼女たちはどうなったのだろうと映画が終わっても考えずにはいられなくなってしまう。
ここから完全にネタバレです。
本当に映画の知識がなくてよかったー。後で監督のインタビューをDVDの特典映像を見て初めてファイクドキュメンタリーだと気づいた。映画の本編では最後まで明かさないので完全にやられたという感じ。
おそらく、映画に詳しくこの監督の他の作品を見ていたら、彼のミューズ的存在、チャオ・タオであることは気づくであろう。
ドキュメンタリー出身の是枝裕和が好きと挙げるのもわかる。
後、ちょっと気になったのは最初のクレジットのところにオフィス北野の書いてあった。森プロデューサーってこういう映画もプロデュースするんだと。
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