尾崎的映画紹介 『精神』 想田和弘監督
2011年 01月 28日
この監督独自のナレーション、音楽の一切がない観察映画第2弾。
撮影されたのはコラール岡山の人達。躁鬱病や統合失調症など病気は様々なようだ。(映画の中では病名に対してはそこまで詳しく触れていない。)約70時間撮影されたものを編集し映画としたらしい。私自身も映画に出てくるような人達と携わることが多いので、どうしても感情輸入してしまう。
患者さんの名前などを含め、ほぼ全てを撮影しているのはそれだけ関係性を気づけているんだろうなーとは思った。一方でDVDだと特典映像として収録されているのだが、撮影された患者さんの一人からいい部分だけではなく、文字も読めないほど本当に病気で苦しんでいる姿も撮影してほしかったという意見が出ていた。実際、映画に出ている時は状態のいい時だからだ。観察という一つの撮り方で人間を撮るならばその意見はごもっともである。一方で、その意見を言った患者さんもそうだが、悪い状態の時は通院もできないので、撮影するのはさらにハードルが上がってはしまう。そこをどこまで“観察”できるかはこの監督の今後にかかってくると思う。
シャイクスピアのリア王に出てくる道化のように彼ら、彼女らのような健常者とは少し違った視点を持った人の方がより真理をつくようなものの見方が出来ているように思えた。それはこの映画からもそう思えたし、普段、精神病をお持ちの方と接していても感じることだ。
あと、この病院の山本先生がすごい。本当に頭があがらないというのはこういうことだ。
年内に想田監督最新作「PEACE」が公開されるらしい。
平田オリザの青年団を撮影していたようだが、それはどうなったんだろう?