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写真家・尾崎大輔のblog


by daisukeozaki
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存在しないものほど美しいものはない。

「存在しないものほど美しいものはない。」

ポール・ヴァレリーの言葉。平凡社ライブラリーから出ているヴァレリーセレクションを今読んでいる。ヴァレリーの詩は中井久夫の本に載っているものを読んだくらいで、彼の詩自体はほとんどといっていいほど知らない。若きパルクを買おうかどうかという感じ。
戦後の知の巨人がモーリス・ブランショだとすれば、戦前は確実に彼の名前が挙がるであろう。

何度も言っていると思うが、写真家の面白さというのはその場にいることによって成立すると考えている。どのように世界を見るかというのはその次のことに私は考えている。
そういった意味で世界の見方を学ぶのは私の場合ほとんどが読書による事の方が多い気がする。

このヴァレリーの評論集の中からでもその見方を十二分に教えられる気がする。
このように世界が見えたならば、世界は美として映るのか、はたまたただの恐怖であるのか。
彼の膨大に残した思想の痕跡「カイエ」の中から体裁を整えかかれた1つ、「ロンドン橋」。
ロンドン橋から見える人々が粒の流れに見え、孤独に打ちのめされる。
最後の1行が、「わたしはロンドン橋の上で、詩の罪を感じていた。」

私の彼の最も好きな名言

「作品をどうして作るのか?」という質問に対して、ヴァレリーは「弱さから」と答える。
by daisukeozaki | 2011-05-17 16:12 | Comments(0)