荒川修作とシャガール
2011年 07月 16日
よく携帯電話を家に忘れると不安になるという人がいるが、私の場合、外出時に本が手元にないと不安になる。ちなみにカメラは特別な日というか、撮影する日しか持ち歩かない。いまだに作品はフィルムのカメラを使っていて、以前はよくカメラを持ち歩いていたが、森山大道さんの若いときのように、100mを歩くとフィルムが一本なくなるほど撮っていた時期もあったので、お金がかかりすぎたためやめてしまった。
荒川修作がシャガールのアトリエに起居していた時の出来事。
シャガールはそのとき、94歳で朝早くアトリエに来て、鉄のパレットを使い、そこへ色を盛り上げ、キャンバスに色をどんどんと塗っていった。夕方まで続け、その後、部屋をくまなく掃除し、雑巾をかけ、パレットを洗い、帰っていく毎日。
ある時、荒川修作が見かねて、俺が掃除をするといったら、シャガールじいさんが「俺を殺す気か、これをやっているから俺は今まで生きているんだ」と言ったらしい。
荒川修作も自分の作品は藝術ではないという。そんな悠長で暢気なものではないと。自分が死なないために続けるものだと。
僕もお金がかかるからとかじゃなく、カメラ持ち歩こうかな。