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写真家・尾崎大輔のblog


by daisukeozaki
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電車

電車に乗ることは比較的好きな方だ。車、飛行機はそうではないが。
乗車中はほぼ読書をして過ごしている。私にとって、読書が一番はかどる時間である。
最近の車内はだいたい3パターンぐらいに人に分かれている気がする。携帯電話で何かをしているか、本を読んでいるか、寝ているかの主に3つである。ウォーカー・エヴァンスの「地下鉄の肖像」や瀬戸正人の「サイレントモード」のように焦点のあっていない表情を見ることも少なくなった。

レヴィナスの他者論関係の本を読んでいた時に、電車での他者との関係が頭に浮かんだ。人類は愛せるが、隣人は愛せないと言ったのはドストエフスキーであったか。通勤、通学で同じ電車の同じ車両に乗る人は多いと思うが「隣人」をどこまで私達は知っているのであろう。
ある日、通勤している中でいつも同じ車両に乗るサラリーマンが「明日から転勤することになりました。今日までありがとうございました。」と座席から立ち上がって皆に向かって礼を述べたという話を聞いたがことがある。その方は礼を言われたが、数年間毎朝一緒であったのに、挨拶すらしたことがなかった。挨拶もしたことがない無縁の関係が私達の日常であろう。

日常が何かで(例えば犯罪にあってしまった場合など)一変した場合など、その後の日常は異常化されてしまう。心的な外傷ストレスといったものであるが、私達は電車で隣に座った人が刺してこない、その電車が脱線しないなど当たり前の信頼をおいて行動しているわけであるが、強い心的外傷をおった場合、その信頼が当たり前でなくなってしまう。異常が日常化されてしまうのだ。隣人を愛すことはできないが、隣人の日常を壊さないようにするということが必要最低限のことであろう。

今日の電車は人身事故でかなりの満員電車に乗ったのだが、隣人を愛すことはとてもできそうではなかった
by daisukeozaki | 2011-09-12 21:12 | Comments(0)