人間の根源悪
2012年 01月 14日
オウム事件以後、日本人から宗教を忌避する感覚が強くなったが、すぐに「あなたの前世は〜です」という人が登場し、メディアに大きく取り上げれた。大手メディアは何も学んでいないように感じられた。
村上春樹のアンダーグラウンドを読んでも感じるのであるが、地下鉄サリンの被害にあって重症の人もほとんど全員が遅刻しながらも会社に行っていることである。それだけ会社に服従されているのである。オウム信者が麻原に服従されているように。
心理学と学問を振りかざしてしまうのはよくないが、服従によって約7割近くの人が見知らぬ人を殺してしまう殺人者となってしまう。
オウム事件に関してはきちんと今後も議論されるべき問題だと感じる。
なおざりになってしまった場合、同じような事件が繰り返されないと保証は出来ない。
原発の問題も時が経つにつれ、メディアは報じなくなり、オウム事件、公害問題のように人々の関心から消えてしまうのではなかろうか。テレビの報道の時間によって、募金、義援金の量とは比例して増加していくというデータもある。報道されなくなった数年後に、原発による健康被害が出始め、福島に住む人達に対して差別は起きないであろうか。
カントが人間の根源悪とは真理よりも幸福を優先させることであると言っていた。
ほぼ全ての戦争は悪から始まるのではなく、一歩の立場の善から始まっている。去年行ったアウシュヴィッツでは約8000人のドイツ人がアウシュヴィッツ収容所で善であるアーリア人至上主義のもとで悪であるユダヤ人に対して‘仕事’をしていた。
善を求める為に事件を起こしたオウム真理教、幸福をもたらすと思われて作られた原発。全ての問題に答えはおそらくないであろうが、問い続けることにこそ意味があるのではないか。