映画紹介『KOTOKO』 塚本晋也監督
2012年 04月 07日
終わった後、色々と消化するまで時間がかかったので、展覧会用の写真のセレクトが出来ず、ぶらぶらと新宿御苑周辺の写真ギャラリーにいってしまった。
Coccoが精神に問題のある母親、KOTOKOを演じる親子のストーリー。
私にとってはあまりにリアルすぎた。
同じような境遇の女性とお会いする事も多々ある。
少し前に写真を撮らせていただいた女性はKOTOKOと同じように統合失調症を患いながら、三人の子供を育てていた。手には自損の後もあった。その女性は、10代の時にドラッグ中毒になった為、統合失調症を永遠にわずらうことになった。数多くの自損のシーンが出てくるが、昔あった人は手の甲に油をぬり、そこにライターで火をつけたこともあった。
映画の中では幻覚の中にかなり暴力描写がでてくるけど、実際はどこまで当事者たちにでているかはわからない。ただ、無表情の人間がこっちに襲ってくる感覚は自閉症の人の世界に似ているような気がする。
さらには、音の使い方。監督が舞台挨拶に時に、音量をかなりこだわったと言うように、一般には何の変哲もない音が自閉症の人にはノイズのように聞こえるあの恐ろしい音が映画の中でよく表されていたと思う。
歌を歌っているときだけ、世界はふたつではなく、ひとつになるとKOTOKOの台詞にもあるが、多くの天才と言われるアーティストは遠からず、同じように芸術という生易しいものではなく、生きる為に表現せざるおえない状態なのであろう。
原案と美術がCoccoとなっていており、且つ最後におそらく実の息子も登場している。ほとんどすべてがCoccoの見る世界を土台にしており、もちろん映画的虚飾はつけられているであろうが、本当にどこまでがリアルで、どこまでがフェイクなのかわからない世界に連れ込まれていってしまった。
決して見て楽しいと思う映画ではないけど、超お勧めというか、音の演出もあるので絶対映画館で見た方がいい映画っす!!
小説家として塚本晋也が登場してくるんだけど、ちゅっと村上春樹とだぶっておかしかった。