お金とは何か
2012年 06月 14日
ブログもきちんとしたのを更新しないと思いつつ、面倒くさくなかなか更新してなかったので、今から頑張って本の紹介でもします。
以前に一度似たような事を書きましたけど、今、ヨーロッパの金融危機が騒がれているので、ちょっともっと広い意味でのお金に関する本を三冊紹介します。
ある坊さんと話をしていた時に、現代においては神の代わりに人間が信仰しているのはお金であると言っていた。
私達は1万円の価値があると信じて、福沢諭吉の印刷された紙幣を使い、広い意味での物物交換を行っている。しかし、それは言ってしまえば、ただの紙切れであり、共通認識として価値が付与されているという信仰のもとで成り立っている。
その信仰が崩れてしまった場合、世界は大混乱を生じさせるわけである。
人間自体は信仰をしないと日常生活が立ち行かない動物である。今日、電車が時間通りに動くと信じているので、ブログを書ける私がおり、何千人も死ぬような地震がこないと信じて今を過ごし、電車に乗れば、隣の人がいきなり包丁で刺してこないと信じ、日々無意識の中で当たり前のように信仰し、生活を行っている。
以前、精神病の強い外傷ストレスによって、上記のような当たり前のことを全く信頼出来なくなった離人症の症例の患者の話を聞いた事がある。
一番右の本、「ぼくはお金を使わずに生きることにした」(マーク・ボイル著)はイギリスの青年が一年間全くお金を使わずに生きてみる事を実践したドキュメンタリーの本です。この本を見ると、普段私達はどれだけお金を使って生活しているのかが如実に分かります。
真ん中の本は「悪貨」(島田雅彦著)偽札によって、日本の貨幣システムを転覆させようとする人とそれを阻止しようとする警察のエンタメ系の小説です。すごく読みやすく、お金に対する信頼がなくなるどうなるのかという事が端的に書いてあります。第二次世界大戦の時にナチスドイツがイギリスのポンドの偽造紙幣をねつ造した事件がありましたが、それに似ている感じです。このナチスドイツの事件は「ヒトラーの偽札」というタイトルだったと思いますが、映画にもなってます。
一番左は、「ヴェニスの商人の資本論」(岩井克人著)でこれが経済学的に貨幣とは何かを分かりやすく、深く書かれいる本です。今回の3冊の中では一番難しい本ですが、知的好奇心のある方にはお勧めの本です。
ヘーゲルが言ったように私達の中には他者と同一化したいという欲望と他者と差別化したいという欲望の相反する欲望二つが共存し合う存在です。それによって、他者と同じ商品を買って満足を覚え、マズローの欲求段階が達成されるように次に他者と違うものが欲しいという欲望が働き、無限にループする中でこの消費社会はなりたっているのである。
他にもマルクス経済学の基本的なところも分かると思うし、お勧めです。
個人的に他に「会社はこれからどうなるのか」も読んだのですが、「ヴェニスの商人の資本論」の方がお勧めです。
興味ある人は読んでみて下さい。
