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写真家・尾崎大輔のblog


by daisukeozaki
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『隣る人』 刀川和也監督

展覧会に来てくれたポレポレで働く友人に勧められ、金曜日で終わりという事もあり、今日鑑賞。
明日が最終日です。

児童養護施設のドキュメンタリー映画。
観る人によって色んな見方が出来ると思います。私は自分自身が週に数回、障害者福祉施設にいるということと、カメラマンであるという事実があるので、その二つの視点が行ったり来たりしながら映画を鑑賞しました。

この施設では職員さんが子供たちと一緒に寝食を共にしている。
一番強く感じたのは児童養護施設の職員さんの児童との距離間って本当に難しいし、大変だなぁということ。職員さんは母親、父親と同じように愛情をそそいではいるが、子供たちは職員さんの子供ではなく、彼ら、彼女らの母親、父親にはなれない。場合によっては年度の変わる時にその子供の‘担当者’が変わってしまうのである。
説明的な部分がほとんどない映画の為、推測にすぎないが虐待を受けていた母親のところに自分の愛情を注いでいる児童を送り届けないといけない職員さんの複雑な感情は想像を絶する。(私は映画内で出てきたお母さんにやけどのかさぶたを見せるというところから虐待をうけていたんだろうなと推測しました。)
映画の中で語る「ずっと一緒にいようね」というその言葉は本当に色んな意味の詰まった言葉であろう。

カメラマンの視点としては説明的な要素をかなり排除したのはすごく良かったと私は思う。逆にどのようにして児童がこの施設に来たか知ると先入観が先行して映画を見てしまうように思う。
ひとつ難を言うとすると、この映画を8年かけて製作したようだが、その時間軸が全く見れなかった。もう少しどのように児童が成長していくのかその過程を見たかった。

ただ、良作であることは間違いないと思います。

ポートレートの写真を撮る場合、私も施設にいってかなりの時間を一緒に共有し、撮影にのぞんでいるので、被写体との関わり方や色んな部分で考えさせられた映画でした。
by daisukeozaki | 2012-06-28 22:05 | 映画 | Comments(0)