最近読んだ本(医療崩壊 小松秀樹・著など)
2012年 12月 27日
この前、神保町の古書店で叩き売りをしていて、4冊で600円なり。
「医療崩壊」 小松秀樹・著 朝日新聞社
訴訟問題などでよく小児科、産婦人科の医者がいないとニュースで取り上げられるが、どうして医者の数が少なくなるのかなど医療の問題点を構造的、且つわかりやすく説明しているノンフィクション本。
根本にあるのは日本人が持つ医療に対する過度の信仰である。医療は万能ではない。ただ、その意識が薄くなっている現代日本では、何かあった場合訴訟ということになり、それが医者、患者になる私達の両者の首をしめている。
医者が少なくなっているというが、実際その数は増加している。減っているのは勤務医の数であり、逆に開業医の数は増えている。それだけ専門医が少なくなっているという事を示しているのだが、勤務医の平均年収を見たらそれはサボタージュもしたくなるだろうというぐらい、労働に見合わない金額である。それで努力が報われず、何らかの不幸な結果になった場合、訴訟となれば、専門医の数は少なくなるのは当たり前である。
イギリスに住んでいた時に、病院が全て無料だったので、風邪を引いた時に薬局で薬を買わず、病院に行ってただでもらった記憶がある。なんてすばらしいのだが、そのイギリスの医療界は完全に崩壊しているという。緊急の場合でも何時間下手をしたら何日も診察を受けるのに待つ事もイギリスではあるという。
著者は日本の医療も下手をすれば同じ道をたどるのではと警鐘をならしているが、現代の日本の医療をざっと見るには十分の本だと思う。
勤務医の知り合いもいるが、本当にご苦労様と思ってしまった。
少し前の本だが、現状もそこまで大きくは変化していないのではないか。
「精神と物質」 利根川進/立花隆・著 文藝春秋
1987年度にノーベル生理学・医学賞を受賞した利根川進に立花隆がインタビューし、それを構成した本。
利根川進の受賞理由は、例えば今ノロウィルスが流行しているが、多様な新種のウィルスが人間の体に入った場合も、人間の免疫機能によって抗体が作られ、対応するわけであるが、その多種多様な抗体がどのようにできるかを解明したためである。すごい簡略化すると、DNAから多種多様な組み合わせによって抗体ができるわけであるが、それを一般の読者にもわかりやすいように説明しながらインタビューを進めていく内容の本。
約40%ぐらいは理解出来たかなぁ。。。やはり立花隆の博識のすごさに舌を巻いてしまう。多田富雄とかを読んでいたので、若干はついていけたが、全く知識無しで読むと手を上げてしまうかも。ただ、自分の体で何が起っているのか知る機会にも一読の価値はあると思う。最近流行の福岡伸一や多田富雄の生命の意味論などをざっと網羅すれば、より興味深く読み勧めれると思う。
個人的に一番最後の利根川が無神論を貫く所がおもしろかった。全ては科学の手の内にあるとあそこまで言い切れるのはさすが科学者。
「脳の王国」 茂木健一郎・著
おもしろくなかったので、3分の1を読み終えてやめてしまった。
週刊誌の連載をまとめたものだが、一般自称を簡単な脳科学を用いて説明するといった内容。ただ、あまりにもチープで経験論でそれぐらい言われなくてもわかるのではと思う箇所があまりのも多かったので、途中でやめました。
丁度、民主党が政権をとる前ぐらいに書かれているチャプターもあり、知識人って適当だなと。。。
「悪の哲学」 シュェストフ・著
悪の哲学となっているが、ドストエフスキーとニーチェの考察。ニーチェはそんなに書かれていないので、主にドストエフスキーのことについて。ニーチェに関しては「ツァラツゥストラ」から主に考察している。
ドストエフスキーは一生のうちに読むべき作家の一人だと思う。ドストエフスキー自体の著作をたくさん読んでいる私にとってはいい復習となった本だった。
悪とは何のかということをドストエフスキーの「地下生活者の手記」から引用し、
「紅茶一杯が飲めるなら、世界など消えてなくなってもいい」
ということである。
選挙も人間の欲望が顕著に見て取れる社会現象だとおもうのだが、私達は大義名分以上に自分自身の幸福を最優先してしまう。それが所謂、根源悪なのだ。世界をどうしたい、どういい方向に変えていきたいという以上に、まず自分が幸福である事を望むのである。
「人間の根源悪は真理よりも幸福を優先する」とカントも同じ事をいっているのであるが、おそらく略歴にこの著者がカントの研究者であったので、その関係もあってドストエフスキーから考察した場合も同じ結論になったのだと思う。
罪を憎んで人を憎まずと人類は愛せるけれども、自分の身近な隣人は愛せないのである。
今日の未来の党の報道を見てると妙に納得する。

「医療崩壊」 小松秀樹・著 朝日新聞社
訴訟問題などでよく小児科、産婦人科の医者がいないとニュースで取り上げられるが、どうして医者の数が少なくなるのかなど医療の問題点を構造的、且つわかりやすく説明しているノンフィクション本。
根本にあるのは日本人が持つ医療に対する過度の信仰である。医療は万能ではない。ただ、その意識が薄くなっている現代日本では、何かあった場合訴訟ということになり、それが医者、患者になる私達の両者の首をしめている。
医者が少なくなっているというが、実際その数は増加している。減っているのは勤務医の数であり、逆に開業医の数は増えている。それだけ専門医が少なくなっているという事を示しているのだが、勤務医の平均年収を見たらそれはサボタージュもしたくなるだろうというぐらい、労働に見合わない金額である。それで努力が報われず、何らかの不幸な結果になった場合、訴訟となれば、専門医の数は少なくなるのは当たり前である。
イギリスに住んでいた時に、病院が全て無料だったので、風邪を引いた時に薬局で薬を買わず、病院に行ってただでもらった記憶がある。なんてすばらしいのだが、そのイギリスの医療界は完全に崩壊しているという。緊急の場合でも何時間下手をしたら何日も診察を受けるのに待つ事もイギリスではあるという。
著者は日本の医療も下手をすれば同じ道をたどるのではと警鐘をならしているが、現代の日本の医療をざっと見るには十分の本だと思う。
勤務医の知り合いもいるが、本当にご苦労様と思ってしまった。
少し前の本だが、現状もそこまで大きくは変化していないのではないか。
「精神と物質」 利根川進/立花隆・著 文藝春秋
1987年度にノーベル生理学・医学賞を受賞した利根川進に立花隆がインタビューし、それを構成した本。
利根川進の受賞理由は、例えば今ノロウィルスが流行しているが、多様な新種のウィルスが人間の体に入った場合も、人間の免疫機能によって抗体が作られ、対応するわけであるが、その多種多様な抗体がどのようにできるかを解明したためである。すごい簡略化すると、DNAから多種多様な組み合わせによって抗体ができるわけであるが、それを一般の読者にもわかりやすいように説明しながらインタビューを進めていく内容の本。
約40%ぐらいは理解出来たかなぁ。。。やはり立花隆の博識のすごさに舌を巻いてしまう。多田富雄とかを読んでいたので、若干はついていけたが、全く知識無しで読むと手を上げてしまうかも。ただ、自分の体で何が起っているのか知る機会にも一読の価値はあると思う。最近流行の福岡伸一や多田富雄の生命の意味論などをざっと網羅すれば、より興味深く読み勧めれると思う。
個人的に一番最後の利根川が無神論を貫く所がおもしろかった。全ては科学の手の内にあるとあそこまで言い切れるのはさすが科学者。
「脳の王国」 茂木健一郎・著
おもしろくなかったので、3分の1を読み終えてやめてしまった。
週刊誌の連載をまとめたものだが、一般自称を簡単な脳科学を用いて説明するといった内容。ただ、あまりにもチープで経験論でそれぐらい言われなくてもわかるのではと思う箇所があまりのも多かったので、途中でやめました。
丁度、民主党が政権をとる前ぐらいに書かれているチャプターもあり、知識人って適当だなと。。。
「悪の哲学」 シュェストフ・著
悪の哲学となっているが、ドストエフスキーとニーチェの考察。ニーチェはそんなに書かれていないので、主にドストエフスキーのことについて。ニーチェに関しては「ツァラツゥストラ」から主に考察している。
ドストエフスキーは一生のうちに読むべき作家の一人だと思う。ドストエフスキー自体の著作をたくさん読んでいる私にとってはいい復習となった本だった。
悪とは何のかということをドストエフスキーの「地下生活者の手記」から引用し、
「紅茶一杯が飲めるなら、世界など消えてなくなってもいい」
ということである。
選挙も人間の欲望が顕著に見て取れる社会現象だとおもうのだが、私達は大義名分以上に自分自身の幸福を最優先してしまう。それが所謂、根源悪なのだ。世界をどうしたい、どういい方向に変えていきたいという以上に、まず自分が幸福である事を望むのである。
「人間の根源悪は真理よりも幸福を優先する」とカントも同じ事をいっているのであるが、おそらく略歴にこの著者がカントの研究者であったので、その関係もあってドストエフスキーから考察した場合も同じ結論になったのだと思う。
罪を憎んで人を憎まずと人類は愛せるけれども、自分の身近な隣人は愛せないのである。
今日の未来の党の報道を見てると妙に納得する。

by daisukeozaki
| 2012-12-27 00:45
| 本
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