「非道に生きる」 園子温
2013年 01月 08日
一番共感したのは、私達まがりなりにも「芸術」と呼ばれる創作活動をしている人が作品の中に埋め込むのは‘情報’ではなく、‘情緒’であるということ。事実をそこに示すのではなく(そもそも事実というのが何なのか曖昧だが)、作者がそれにどのように感じたか、どう思ったのかを表さないといけないということ。
それによって、一人でも鑑賞者に世界を見る違った見方を提示するのが、私達の行っている事のように思う。
おもしろいのは、初期に作成した映画の広報の仕方。「内容なんかどうでもいいからとにかく目立て」というのが、その本質。違う有名監督のトークショーのある日に映画を観に行き、観衆の前で質問する。「えー、わたくしはですね、来月の××日から○○ホールでレイト上映する『自転車吐息』という映画を監督した園というものですが、」と質問を始める。監督は「なんだ、宣伝じゃねえか」と怒るがそんなのをかまわず、何度も繰り返す。さらに終わった後、映画館の前で自分のアナウンスした映画のビラを配るといった方法など、様々な方法でお客を集める。私も本当に見習わないといけない。
あと、東京に行けば、童貞を棄てれると思って家出する。東京駅についたが、やることもなく、そのまま駅で持っていたギターを弾いていたら、女性が現れる。「この辺にレストランありませんか」と聞かれたので、「ホテルなら知ってますけど」と答えたら、そのままホテルにいくことに。初体験に夢を膨らませていたら、女性が情緒不安定ではさみでちんこを切られそうになるといった始まりは夢のような悪夢の話もおもしろかった。
すごく読みやすいので、暇な時にさらっと読める本だと思います。
