ぼくには数字が風景に見える ダニエル・タメット
2013年 01月 10日
数字が風景のように見え、詩人が言葉を選ぶと時のように、ある数の組み合わせが他に比べてはるかに美しく見えるというサヴァン症候群の著者。
サヴァン症候群とは高度自閉症であり、アインシュタインやエジソンもサヴァン症候群ではなかったのかと言われている。
数字に色や風景を感じたり、他の感覚が反応してしまう事を共感覚と呼ばれている。ただ、この共感覚は特別な感覚なのかというとそういうわけではない。
例えば、私達は「楽しい」と聞いた時、「上昇」に近いイメージをもつし、「悲しい」と聞けば、逆に「下降」のイメージを持つ。共感覚の人はこのイメージがさらに強烈になるのである。
創作活動をしている人達は一般の人よりも7倍近く共感覚の人がいると言われている。詩人のランボーなどはその典型であろう。
全体を通して、著者がどのように生きてきたのかが描かれている。普段、自閉症の人達と接する機会が多いので、あぁ同じ世界を感じているのだと思う部分は多かった。自然と色々なものを整理したくなったり、日常の少しの変化でもうまく対応出来なかったり、また周囲の人間関係の構築が難しい。
私自身、自閉症の人と一緒に外に食事に行く時、周囲の音、例えばレストランは騒がしくないのか、流れているBGMは大きくないのかなどものすごく注意をして店の選択をしている。
おもしろかったのは、著者もかなり本を読んでいるようであるが、著者を含めサヴァン症候群の人は小説に全く興味を示さない人が多いという。現実は小説より奇なりということであろう。
ドナ・ウィリアムズの「自閉症だったわたしへ」にように読みやすく興味深い本でした。
