人気ブログランキング | 話題のタグを見る

写真家・尾崎大輔のblog


by daisukeozaki
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

「フラッシュバックメモリーズ 3D」 松江哲明監督

記憶と映像、私の場合は写真であるが、「写真は私たちの記憶を記録できるのですか?」という写真集を出しているくらいなので、普通の人以上に興味のある事柄である。
この映画は人によっては80分のミュージックビデオと思えるかもしれない。早く終わってくれとも思うかもしれない。私の場合はそのうちの60分は泣いてしまった。私の現状でこの映画はドストレートもいいところ。

世界の色々な所を旅し、演奏してきて、仲間や友人と一緒に様々な活動を行ってき、また最愛の奥さんと娘に囲まれ、やっとこれからといった矢先に交通事故により外傷性脳障害により、短時間で記憶を失ってしまうという障害をおったGOMAというアーティストの映画。3Dとして現在のGOMAを映しだし、2Dとして過去のGOMA映し出している。
内容自体はよくある話と思う。手法は「トウキョードリフター」を観に行った時に松江監督本人から聞いていて、その手法に興味をそそられていたので観に行こうとは決めていた。

人によっては別にと思うであろうこの映画にここまで感動したのは、私がもしGOMAだったらと終始考え続けてしまった為である。この他者の身になった場合を想像するというのは写真を撮る時も癖としてよくやっている。
もし同じように記憶障害をわずらった時に、自分はどうするであろうか。そのとき、自分で撮った写真を見て、いつ、どこで、なぜ撮ったかも思い出せない自分に会い、恐怖で動けなくなるのではないのか。その時彼のように私は写真を撮り続けるのであろうか?
また、写真を撮る事は身体的に覚えているのに、最愛の家族の記憶を失ってしまっている自分に自己嫌悪をいだかないであろうか?
そのようなことを終始考え、後ろに映し出されていく写真、映像の多くがこの人にはないのだと思うと、涙をおさえるのに大変だった。
人は記憶の上で大部分を生きているのである。

写真をやっている方は中平卓馬を思い浮かべるであろう。

この映画を長く感じる人もいるかもしれないが、私は最後の方で永遠にこの演奏を続けていってほしいと思ってしまった。もしGOMAが演奏をやめ、明日朝起きた時に全ての記憶を失ってしまっていたら、もう二度と同じように演奏をすることができないからだ。演奏を続ければ、終わる事はなくなるわけである。

直接会っている人には伝えているが、嫁が妊娠中で問題なければ6月上旬には子どもが生まれてくる。最近ではよくお腹をけるらしく、日に日に大きくなっているのがわかる。今日定期検診にいっており、男の子か女の子かわかるかもしれない。
もし同じ障害をおった時に、私の消えてもいい記憶は写真を撮るという事なのか、はたまた最愛の人の事なのか。

この映画はGOMAの生きた証でもあり、未来へ向けた自分自身ヘのメッセージでもある。

私の座っていた列の一番端の女性も「松江監督すげぇ。」と言っていたので、響く人にはかなり響く映画と思います。
by daisukeozaki | 2013-01-22 18:11 | 映画 | Comments(0)