最近読んだ本「毒婦」など
2013年 11月 27日
色々と仕事の合間に書店やbook offなんかでジャケ買が多かったので、その辺の中でいくつか紹介。
よく知られている事件や本もたくさんあるので、興味のある方は読んでみては。
「消された一家−北九州連続監禁殺人事件」
安部公房の「砂の女」では、主人公の男性が逃げれる状態になっても、いつでも逃げれるから大丈夫と考え、現在の環境で居続けることを選ぶという結末だった。
安部公房の人間観察力には舌を巻くが、この事件はまさに一家全員が逃げれる状況でありながら、精神的にも縛られ続け、電気ショックによる虐待を互い与え続 け、惨殺させるという凄惨なものだった。あまりにも残虐な事件であったため、大手メディアも当時はあまり扱わなかったとか。確かにこの本を読むと確実に食 欲は失せる。
次の本の「毒婦」もそうだけど、天才的犯罪者は存在するし、その術中にハマってしまえば、一般人ではどうしようもない。この事件の主犯の松永太もそのような存在であるし、実際、惨殺された一家の中には元警察官も存在する。
主犯と思われる住田被告が拘置所で縊死した尼崎事件も、その後あまり報道されなくなったが、類似した事件として最近クローズアップされていたので、興味のある方はお勧めです。
「脳の中の幽霊」「妻と帽子を間違えた男」
両方、脳科学の本。最近、視覚障碍者関係の仕事で大学の先生とかに会うことも多かったので、とりあえず有名なオリヴァー・サックスを読んでみた感じ。読みやすいし、面白かった。
個人的にはV・S・ラマチャンドランの方が面白かったかも。
「毒婦」
一時期、木嶋被告も吉原で働いていたというが、今までにどうしてこのおばちゃんにこんなにもお客さんがつくのかという人をたくさん会ってきているだけに、 最初はこの人の容姿が良くないのにどうして男はついていくのかというのは、事件の本質を逆に分からなくすると思っていた。
何より、木嶋被告の男に対する洞察力がものすごい。ダメだと思った後に深追いをしない潔さやこの男はどこまですればお金をくれるかというその線引き具合。 体を売っているから、自分の価値を安くしているという価値観はこの人には合わず、この人程、自分の価値を重んじている人はいない。
最後の方に上野千鶴子の言葉の引用で、「援交世代から思想が生まれると思っていた。生んだのは木嶋佳苗だったね。」というのが腑に落ちる。
「グロテスク」
東電OL殺人事件を下地にした小説。途中の明らかにオウム真理教を連想させ‘ミツル’部分と最後の‘わたし’がどういう風になっていくかのくだりは私は少してんこ盛りすぎていらなかったかなと思うけど、スラスラ読めておもしろかったです。
前に誰かと話していたけど、東電のエリートOLが売春をしていたのではなく、売春をしていた人がたまたま東電のエリートOLだったと考えれば、違った見方 が出来ると思うし、既に何百人とそういう方達に会って来ている私としては、そこに‘闇’を求めても何も見えてこないかなぁと思う。実際に事件の方は被害者 の女性は精神が破綻している行動がたびたびみられる。
どうしてそういうことをしていたのかとその理由を聞けたとしても、空に新しい星を見つけたように、その理由が新しく一つ増えるだけなのかもしれない。
「ジョニーは戦場に行った」
私の中では数ある中でもかなり印象に残った反戦小説のひとつ。
その反戦思想が社会に影響を与えるとして、アメリカでは一時期発禁にもなっていた小説。
ジョニーは戦場に行き意識が戻ったときには、そこは病院のベットで、両手・両足もなく、耳も聞こえず、目も見えなく、あごは砕かれ、口がないといった状態になっている自分に徐々に気づいていくという話。
彼はどのように自分が生きていることを人に伝えることができたのか、またそのようになった彼がどのように生きていくことを願ったのか?
「ぼくたちには戦争よりももっと大事なことがある」というすばらしい反戦小説だと思います。
よく知られている事件や本もたくさんあるので、興味のある方は読んでみては。
「消された一家−北九州連続監禁殺人事件」
安部公房の「砂の女」では、主人公の男性が逃げれる状態になっても、いつでも逃げれるから大丈夫と考え、現在の環境で居続けることを選ぶという結末だった。
安部公房の人間観察力には舌を巻くが、この事件はまさに一家全員が逃げれる状況でありながら、精神的にも縛られ続け、電気ショックによる虐待を互い与え続 け、惨殺させるという凄惨なものだった。あまりにも残虐な事件であったため、大手メディアも当時はあまり扱わなかったとか。確かにこの本を読むと確実に食 欲は失せる。
次の本の「毒婦」もそうだけど、天才的犯罪者は存在するし、その術中にハマってしまえば、一般人ではどうしようもない。この事件の主犯の松永太もそのような存在であるし、実際、惨殺された一家の中には元警察官も存在する。
主犯と思われる住田被告が拘置所で縊死した尼崎事件も、その後あまり報道されなくなったが、類似した事件として最近クローズアップされていたので、興味のある方はお勧めです。
「脳の中の幽霊」「妻と帽子を間違えた男」
両方、脳科学の本。最近、視覚障碍者関係の仕事で大学の先生とかに会うことも多かったので、とりあえず有名なオリヴァー・サックスを読んでみた感じ。読みやすいし、面白かった。
個人的にはV・S・ラマチャンドランの方が面白かったかも。
「毒婦」
一時期、木嶋被告も吉原で働いていたというが、今までにどうしてこのおばちゃんにこんなにもお客さんがつくのかという人をたくさん会ってきているだけに、 最初はこの人の容姿が良くないのにどうして男はついていくのかというのは、事件の本質を逆に分からなくすると思っていた。
何より、木嶋被告の男に対する洞察力がものすごい。ダメだと思った後に深追いをしない潔さやこの男はどこまですればお金をくれるかというその線引き具合。 体を売っているから、自分の価値を安くしているという価値観はこの人には合わず、この人程、自分の価値を重んじている人はいない。
最後の方に上野千鶴子の言葉の引用で、「援交世代から思想が生まれると思っていた。生んだのは木嶋佳苗だったね。」というのが腑に落ちる。
「グロテスク」
東電OL殺人事件を下地にした小説。途中の明らかにオウム真理教を連想させ‘ミツル’部分と最後の‘わたし’がどういう風になっていくかのくだりは私は少してんこ盛りすぎていらなかったかなと思うけど、スラスラ読めておもしろかったです。
前に誰かと話していたけど、東電のエリートOLが売春をしていたのではなく、売春をしていた人がたまたま東電のエリートOLだったと考えれば、違った見方 が出来ると思うし、既に何百人とそういう方達に会って来ている私としては、そこに‘闇’を求めても何も見えてこないかなぁと思う。実際に事件の方は被害者 の女性は精神が破綻している行動がたびたびみられる。
どうしてそういうことをしていたのかとその理由を聞けたとしても、空に新しい星を見つけたように、その理由が新しく一つ増えるだけなのかもしれない。
「ジョニーは戦場に行った」
私の中では数ある中でもかなり印象に残った反戦小説のひとつ。
その反戦思想が社会に影響を与えるとして、アメリカでは一時期発禁にもなっていた小説。
ジョニーは戦場に行き意識が戻ったときには、そこは病院のベットで、両手・両足もなく、耳も聞こえず、目も見えなく、あごは砕かれ、口がないといった状態になっている自分に徐々に気づいていくという話。
彼はどのように自分が生きていることを人に伝えることができたのか、またそのようになった彼がどのように生きていくことを願ったのか?
「ぼくたちには戦争よりももっと大事なことがある」というすばらしい反戦小説だと思います。
by daisukeozaki
| 2013-11-27 20:53
|
Comments(0)