最近読んだ本(「アール・ブリュット アート 日本」、「生きていく絵」など)
2014年 01月 05日
「アール・ブリュット アート 日本」(監修/保坂健二朗)
「生きていく絵」(著者/荒井裕樹)
人間はなぜ表現をしようとするのか?
私がアール・ブリュットに興味があるのはその1点である。彼ら・彼女らはその欲望がよりダイレクトに鑑賞者に伝わってくる。
私自身、現在は視覚障碍者の写真という活動だけでなく、非常勤で絵画活動を行う福祉施設でも働いているので、現場をどちらかというと知っている方だと思う。
「生きていく絵」の平川病院の造形教室でボランティアをしている方も知人にいる。
私自身が主に関わっているのは知的障害の方達のアートで、日本では知的障害者のアートと精神障害、精神病を煩う方のアートが結構分かれていると思う。
海外では主に精神障害の方のアートをアール・ブリュットとして扱うことが多いが、日本では知的障害者の方のアートを主に扱っている。日本では精神の方は自 分自身で色々と判断出来る方が多いので、アール・ブリュットの枠ではなく、一般枠の公募展などに出展している方も結構いるというのは聞いたことがある。
作品の発表ということに関しては知的障害者のアートの方がより家族や施設職員、関係者によって支えないといけない部分が大きいため、日本では福祉施設がそ の役割を引き受けることが大きい。私の行っている施設でもそうだが、描きあがった作品を全部棄ててしまうので、それをゴミ箱から引っ張り出してくるのが職 員の仕事になっている(それを作品にしていいのかという意見はあると思うが、作者本人はゴミ箱から拾い出して展覧会などで展示をすると、満面の笑みを浮か べている)。「アール・ブリュット アート 日本」の企画をしたNO-MAは滋賀県にある美術館で、滋賀県自体が自治体としてかなりバックアップしてお り、関西の方が障害者アートを扱う福祉施設が多い印象を受ける。
そもそも、アール・ブリュットの定義自体が非常に難しい。
ざっくばらんに広義的な意味では、正規に美術教育を受けていないアートのことをさし、今は障害者の方のアートをさしているのだけど、草間彌生の作品をアール・ブリュットかというと、判断がかなり難しい。
それぞれの本の感想。
「アール・ブリュット アート 日本」(監修/保坂健二朗)
学芸員の方や美術の専門家の方が色々と美術史の中で定義しようとしたり、アール・ブリュットを定義しようとしたりしているけど、現場の人の話の所がやはり一番面白かった。私も思うに制作の場も含めて、一つのアート作品だとも思う。
主に知的障害を持つ方などは何か自分の好きなものを‘記録’しようとして絵などの表現に繋がっているように思う。写真ではそこに写っているものがあまりに も自分の見ているものと違うので、‘記録’にはならず、違う表現ツールを使っている。ただ、今回のポコアート展もそうだったけど、コラージュ作品は多く なっている。
精神の方と比べると、自分が表現したいものがよりダイレクトに作品に反映される印象。
「生きていく絵」(著者/荒井裕樹)
どちらかと言えば、こちらの本のほうが面白かった。表現活動をしている方にはお勧めの本です。
「芸術とは、治ってはいけない病気なのだ」(本文より)
『「アーティスト」とは、「自分の思いを的確に表現出来る技術を持った人」ではなく、むしろ「自分自身の表現に、自分自身が驚くことが出来る人」なのではないだろうか。』(本文より)
彼ら・彼女らは自己表現という明確な何かがあり、作品制作をしているように思える。作品でしか社会に対して自分を表現出来ないような感がある。ただ、自己から作品がダイレクトに出てくるかというとかなりの屈折があるように見受けられる。
そこがさらに私を引きつけるのだが。
心のアート展が今まで毎年開かれていたのだけれど、今年からは2年に1回になると言っていたのが非常に残念。
「ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理」(著者/バートン・マルキール)
仲の良い編集者が昨年から株をやり始めて、私自身も便乗して口座のみ開いて、未だ手をつけていない。
とりあえず、色々と本を読んだけど、かなり有名な本なのでこちらを紹介。
この著者はざっくり言うと、企業価値を四季報などから分析して投資を行う、ファンダメンタル分析やよくテレビなどでみるような棒グラフのチャート分析によって投資をするテクニカル分析を否定する。
結論から言うと、現在投資商品としてある幅広く多くの銘柄に分散して投資を行えるインデックスファンドに投資をしてひたすら待てば良いというもの。さらに言うと、ドルコスト平均法をいう毎月一定額を高かろうが安かろうが買い増ししていけば良いという。
他にも最後の方には具体的な銘柄も出てくるので、興味がある人は読んでみては。
ただ、いつから始めればいいのかと思うと、私のような小心者はなかなか踏み出せず。
「レディ・ジョーカー」(著者/高村薫)
私の知り合いの禅僧と対談していて、NHKの未解決事件ファイルの「尼崎事件」でリポーターのようなことをしていて、興味を持って、購入し読了。
森永グリコ事件を下地にした小説。
ストーリーで引っ張るタイプの小説だけど、細部のディテールがすごくしっかりしているので、本当の事件もこんな感じだったのかもと思わせる。かなりぐいぐいと引っ張られた。
去年の暮れに起った餃子の王将の社長射殺事件。
犯人は拳銃を使えるプロと推測されているが、それが暴力団ではなく、警察関係者であったならば、どうであろうか。また、実は餃子に毒を入れると企業自体に脅しがあって裏取引をしていた場合はなど、この本を読んだ時期と近いだけに、色々と推測してしまった。
親父が読んだ高村薫の他の本を実家で見つけたので、桐野夏生の本と一緒に大量にパクったので、そのうち他のも読みます。

「生きていく絵」(著者/荒井裕樹)
人間はなぜ表現をしようとするのか?
私がアール・ブリュットに興味があるのはその1点である。彼ら・彼女らはその欲望がよりダイレクトに鑑賞者に伝わってくる。
私自身、現在は視覚障碍者の写真という活動だけでなく、非常勤で絵画活動を行う福祉施設でも働いているので、現場をどちらかというと知っている方だと思う。
「生きていく絵」の平川病院の造形教室でボランティアをしている方も知人にいる。
私自身が主に関わっているのは知的障害の方達のアートで、日本では知的障害者のアートと精神障害、精神病を煩う方のアートが結構分かれていると思う。
海外では主に精神障害の方のアートをアール・ブリュットとして扱うことが多いが、日本では知的障害者の方のアートを主に扱っている。日本では精神の方は自 分自身で色々と判断出来る方が多いので、アール・ブリュットの枠ではなく、一般枠の公募展などに出展している方も結構いるというのは聞いたことがある。
作品の発表ということに関しては知的障害者のアートの方がより家族や施設職員、関係者によって支えないといけない部分が大きいため、日本では福祉施設がそ の役割を引き受けることが大きい。私の行っている施設でもそうだが、描きあがった作品を全部棄ててしまうので、それをゴミ箱から引っ張り出してくるのが職 員の仕事になっている(それを作品にしていいのかという意見はあると思うが、作者本人はゴミ箱から拾い出して展覧会などで展示をすると、満面の笑みを浮か べている)。「アール・ブリュット アート 日本」の企画をしたNO-MAは滋賀県にある美術館で、滋賀県自体が自治体としてかなりバックアップしてお り、関西の方が障害者アートを扱う福祉施設が多い印象を受ける。
そもそも、アール・ブリュットの定義自体が非常に難しい。
ざっくばらんに広義的な意味では、正規に美術教育を受けていないアートのことをさし、今は障害者の方のアートをさしているのだけど、草間彌生の作品をアール・ブリュットかというと、判断がかなり難しい。
それぞれの本の感想。
「アール・ブリュット アート 日本」(監修/保坂健二朗)
学芸員の方や美術の専門家の方が色々と美術史の中で定義しようとしたり、アール・ブリュットを定義しようとしたりしているけど、現場の人の話の所がやはり一番面白かった。私も思うに制作の場も含めて、一つのアート作品だとも思う。
主に知的障害を持つ方などは何か自分の好きなものを‘記録’しようとして絵などの表現に繋がっているように思う。写真ではそこに写っているものがあまりに も自分の見ているものと違うので、‘記録’にはならず、違う表現ツールを使っている。ただ、今回のポコアート展もそうだったけど、コラージュ作品は多く なっている。
精神の方と比べると、自分が表現したいものがよりダイレクトに作品に反映される印象。
「生きていく絵」(著者/荒井裕樹)
どちらかと言えば、こちらの本のほうが面白かった。表現活動をしている方にはお勧めの本です。
「芸術とは、治ってはいけない病気なのだ」(本文より)
『「アーティスト」とは、「自分の思いを的確に表現出来る技術を持った人」ではなく、むしろ「自分自身の表現に、自分自身が驚くことが出来る人」なのではないだろうか。』(本文より)
彼ら・彼女らは自己表現という明確な何かがあり、作品制作をしているように思える。作品でしか社会に対して自分を表現出来ないような感がある。ただ、自己から作品がダイレクトに出てくるかというとかなりの屈折があるように見受けられる。
そこがさらに私を引きつけるのだが。
心のアート展が今まで毎年開かれていたのだけれど、今年からは2年に1回になると言っていたのが非常に残念。
「ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理」(著者/バートン・マルキール)
仲の良い編集者が昨年から株をやり始めて、私自身も便乗して口座のみ開いて、未だ手をつけていない。
とりあえず、色々と本を読んだけど、かなり有名な本なのでこちらを紹介。
この著者はざっくり言うと、企業価値を四季報などから分析して投資を行う、ファンダメンタル分析やよくテレビなどでみるような棒グラフのチャート分析によって投資をするテクニカル分析を否定する。
結論から言うと、現在投資商品としてある幅広く多くの銘柄に分散して投資を行えるインデックスファンドに投資をしてひたすら待てば良いというもの。さらに言うと、ドルコスト平均法をいう毎月一定額を高かろうが安かろうが買い増ししていけば良いという。
他にも最後の方には具体的な銘柄も出てくるので、興味がある人は読んでみては。
ただ、いつから始めればいいのかと思うと、私のような小心者はなかなか踏み出せず。
「レディ・ジョーカー」(著者/高村薫)
私の知り合いの禅僧と対談していて、NHKの未解決事件ファイルの「尼崎事件」でリポーターのようなことをしていて、興味を持って、購入し読了。
森永グリコ事件を下地にした小説。
ストーリーで引っ張るタイプの小説だけど、細部のディテールがすごくしっかりしているので、本当の事件もこんな感じだったのかもと思わせる。かなりぐいぐいと引っ張られた。
去年の暮れに起った餃子の王将の社長射殺事件。
犯人は拳銃を使えるプロと推測されているが、それが暴力団ではなく、警察関係者であったならば、どうであろうか。また、実は餃子に毒を入れると企業自体に脅しがあって裏取引をしていた場合はなど、この本を読んだ時期と近いだけに、色々と推測してしまった。
親父が読んだ高村薫の他の本を実家で見つけたので、桐野夏生の本と一緒に大量にパクったので、そのうち他のも読みます。

by daisukeozaki
| 2014-01-05 21:59
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