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写真家・尾崎大輔のblog


by daisukeozaki
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「結婚なんてたいしたことないから。」
「そのたいしたことのない結婚すらできない女ってみられたくないの。」
確かこんな感じのやりとりが映画の一幕であった。
あぁ、だから婚活までして結婚したい人があんなに多いんだと妙に納得した。

この映画で私が入り込めたのはこのシーンのみで後は冒頭から全く入り込めなかった。その理由を羅列すると、

・ 詐欺に遭うプロセスが弱すぎる。なんであんなに女の人が引っかかるのかよくわからない。阿部サダヲがそこまでの魅力のあるキャラクターに思えなかった。
・ 板前のシーンがダメ。いきなり少し前に入った人がお店の中心のカウンターで包丁をもってお客さんに接客できるわけがない。途中で仕込みを持ってきた他の板前さんに敬語を使っているので、尚更おかしいと思ってしまった。
・ 私は特に気になったのが、夫婦の会話が方言と共通語が交じり合っていること。そういう人はたまにいるけど、私の場合、方言で話すかどうかがその人に心を完全に許しているかどうか測る尺度になる。仕事関係の人は特に気を使っているというわけではないが、絶対に関西弁にならない。映画の中で特に怒っているときに、方言と標準語が交じっているのがすごく気になった。この夫婦そこまで気を許せる関係じゃないのかなと。
・ これは完全にネタばれですが、最後なぜ松たか子が捕まらなかったのかが不明。

映画の中でここまでは現実ですよというリアリティラインのひき方がこの監督にしては弱かったかも。
「ゆれる」、「ディアドクター」などの作品が作れる監督だけに、もうちょっと頑張ってほしかった。
次に期待しやす。
# by daisukeozaki | 2012-09-18 22:06 | 映画 | Comments(0)
高校時代の同級生とかも見ているかもしれないんで、最初に言っておくと、この映画はお勧めっす。みんな今、どうなってんのかなぁ〜とか何してんのかなぁとかを思わず思い出しやした。

映画はちょっと自粛するはずが、、、、という中、「桐島、部活やめるって」を鑑賞。良かったっす。
話に関しては、ベケットの「ゴドーを待ちながら」の高校生版。しかもストーリーあり。ただ、ゴドーを待ちながらと違い、桐島は皆知っている人物。
「ゴドーを待ちながら」というのは、2人の人がまだ会ったことのないゴドーさんを木の下で待ち続けるという有名な不条理演劇。2人はゴドーを待つ為に、ただ時間を潰しているだけ。ゴドーというのが結局、神のメタファーになっていて、神を待ちつづける人間の不条理というわけである。
後、同じ金曜日をいう日を違う登場人物の視点から描いたものを出しているが、これは哲学的に言えば、ハイデカーの世界−内−存在というもので、簡単に言えば、人の数だけ世界は存在するというもの。なので、同じ教室で同じ状況を共有しているのに、人によって全く見え方が違うというもの。

そういう難しい見方もできるけど、単純に誰しもが学生時代の自分自身を思い出し、登場人物の誰かに感情移入してみてしまう映画。良かったという理由は高校時代の自分はこうだったよなぁとかを終始思い出しながら見てしまったから。
高校時代の自分から見たら、今の写真家という自分は想像すらできない。
今でも後悔しているのが、当時高校2年生になるぐらいに小学校、中学校と続けていたバスケットをやめたことだ。辞めた理由は勉強もできなく、当時県大会で優勝するほどのチームでレギュラーも厳しいと思ったからである。映画に出てくるバレー部のセッターのように練習だけはものすごくしていた。それから、高校3年生はかなり勉強をし、現役で大学に受かったので良かったのではあるが、あのとき続けていてもうまくいったのではと、本当に後悔している。最後の同学年の3年生の引退試合を観に行った時に、よく最後まで残って僕と練習していた僕がいるとき補欠だった子がものすごく活躍していて、途中であきらめた自分にかなり不甲斐なさを感じたのを覚えている。
その時の後悔があったので、今まで写真を続けていれるのだと思う。

人によって、色々な見方ができるいい映画なので、お勧めっす!!!
# by daisukeozaki | 2012-09-13 20:36 | 映画 | Comments(0)
撮影が6時からだし、久しぶりにBlogをUPせねばと思い、最近読んだ本の感想をたんたんと書かせてもらいます。

「北回帰線」 ヘンリー・ミラー

放浪のパリ時代を書いた自伝的小説。ただ、ストーリーというものはほとんど存在しないといってもよい。そもそも小説にストーリーは必要なのかと思わせるような本。登場人物はひっきりなしに出ては、どこかに消えていく。「パリは娼婦に似ている」というように、世界の呪詛と詩的性描写に富んでいる作品。
「目を閉じさえすればいい。すると人生の向う側だ。」で始まるセリーヌの「夜の果てへの旅」。「北回帰線」も「夜の果てへの旅」と同じように生きていればいいことが必ずあるよと口からでまかせを言えない世界を描写している。
しかし、「北回帰線」では決して目をつむることは無く、その性描写に関しては現実を見続け、さらにそれが幻想にかわるような感じであった。ジャン・ジュネを読んだ時にも感じた、文章によって脱自経験を著者本人が行うような状態である。
著者本人、彼の自由奔放な生活、彼の文章の三つが全て繋がっている、三位一体のような作品。


「生命と現実(木村敏との対話)」 木村敏・槍垣立哉 共著

精神科医の木村敏と哲学者の槍垣立哉の対談本。
木村敏自体は西田幾多郎に傾倒しているが、頭でっかちな哲学ではなく、臨床の現場から培われてきた哲学だけに非常に面白かった。
ハイデカー、サルトル、ドゥルーズなどは最終的には一人の個人を軸とする哲学に帰する部分があるし、フーコー、レヴィ=ストロースは環境因子的な部分があまりにも多すぎる感がある。フロイト、ユングは前者に位置するであろう。
そうではなく、個人として自分の内側を掘り起こしていく垂直のベクトルと個人とは違った観点である他者、環境、文化といった平行なベクトルの両方から人間を見ていかないといけないと当たり前のことではあるが、再度それを認識するいい機会になった。
てんかん発作をもつドストエフスキーが発作に入ったその直後の数秒間、宇宙や自然との一体感のような恍惚体験を得るという逸話も面白かった。ドストエフスキーにとっては大自然のなかに自分が入り込めないというのが罪であり、それは自分がいるということが罪であるということに繋がっていく。なので、てんかん発作が罪からの救済ということになるのだという。

日本の精神科医の読みやすい本は私にとっては非常に興味深い本が多い。


「羊の歌」 加藤周一

加藤周一の自伝小説。自分が生まれてから8月15日の終戦の日が訪れるまでを振り返って書いている。
私が今まで読んだ戦争の自伝本のほとんどは国家や戦争という状況に完全に翻弄される一個人の物語がほとんどであったが、この本というか加藤周一自体はそういった状況でも物事を客観的にみれた一個人の例としてこの本自体が希有な本といえる。
真珠湾攻撃の日に舞台を観に行く話などは、世界は人の数だけあるというのが顕著に分かる箇所でもあろう。
「続羊の歌」も購入しているので、そのうち読む予定。

しかし、一番好きな下りは「私自身がひとりの女の眼のなかにすべてをみ、その一刻が世界全体よりも貴重だと思われるような瞬間」というところ。大体僕はこう言える男しか信用しない。

最近読んだ本の感想(「北回帰線」 ヘンリー・ミラーなど)_d0170694_14414283.jpg

# by daisukeozaki | 2012-09-11 14:42 | | Comments(0)
新宿武蔵野館にて鑑賞。

ストーリーは韓国の聾学校で起った先生による生徒への虐待・性的虐待を描いた映画。

監督のメッセージ性が本当に強く出ている作品。
昨今、日本でもいじめ問題などもメディアに取り上げられていたが、オリンピックもあったのでどんどんと下火になり、このまま棚上げされた状態になってしまう感じが否めない。確かにこの映画は絶対権力である先生が生徒に対する虐待という違った状況下での問題をある買ったものであるが、だれか日本の監督でもここまできちんといじめ問題を取り上げ、何らかの結末を提示出来るような人がいてほしいものである。

いや〜見終わって本当にどっしりと重くのしかかる映画でした。ちょいネタバレかもしれませんが、世界のどうしようもなさを痛感させられました。ただ、最後は少しの希望は持てるかも。これをきっかけに韓国では事件の再調査などが行われ、事件の舞台となった学校も閉鎖されたという。

映画も本当に良く作られていた。一点、あれっと首を傾げるところは裁判で聾唖の女生徒が音楽が聞こえるという場面。聾唖者の方で音楽だけ聞こえる人がいるのかと思い、知り合いの聴覚障害者の方に聞いたら、障害の度合いによって少し音が聞こえる人も聾学校に来ているので、そうのような生徒だったのではないかということ。それならば、映画の違うシーンでその音楽が聞こえるという女生徒は少し音が聞こえるということをどこかで描いてほしかったかも。

とりあえず、監督のメッセージがこれだけ強く打ち出され、それによって世の中が変わる程のインパクトを与えるのは並大抵のことではないので、それだけでも賞賛に値する映画だと思います。結構、精神的に重い映画です。
# by daisukeozaki | 2012-08-14 20:14 | 映画 | Comments(0)
先日、横浜にて鑑賞。
色んな意見があると思いますが、私は良作だと思います。

たぶん、一番の分かれ道はお母さんのはなのキャラクター設定。
確かに子どもを育てるということは母親にとって最も葛藤を強いることであり、ましてやそれが一般の人と違うオオカミの子どもならなおさらであるというのは分かる。
ただ、私はこの映画を福祉施設の障害者の方達とレクリエーションとして鑑賞しに行った。それで、はなに対して一緒に観に来た方達の母親像を照らし合わせてみてしまった。おおかみこどもではないが、やはりどこかしら一般の子どもと違うところがあり、色々と母親も葛藤を抱えながら、笑顔を絶やさずに育ててくれているのだということを感じてほしいと私は思ってしまったのである。実際、現実問題としてそんな生温いことは100も承知である。例えば、この家の家計はどうなっているんだという疑問もある。障害者の方の日々の作業所での工賃は施設によるが月々の給料はだいたい1万円ぐらい、プラス障害者年金という状況で、前に私がボランティアで写真を撮りに行った施設の人がNHKのドキュメンタリー番組に出ていたが、最低限の生活費を引くと月に自由に使えるお金は500円だけと言っていた。そんな状況でも生活している人はたくさんいるのである。映画などはレクリエーションでしか観に行くことが出来ない人もいるのである。この映画を観て、そういう現実の問題を思い出してほしくなかった。
なので、リアルの部分は市の職員がネグレクトで、家に訪問調査をしにきたシーンぐらいで十分であった。そのシーンで郵便受けの部分に色々な郵便物がつまっていることからも家計に苦労していることは感じた。
基本、私のアニメーション映画を観る時であるが、見終わって楽しかったと思うものであってほしいというのが私のがんぼうなのでこの映画の評価もそれに関連していると思う。今回はレクで観に行ったので、映画の予告編で何の映画の予告が出てくるのかと若干はらはらしていた。
この映画ははなというよりは子どもの成長という普遍的テーマを分かりやすく映画で語っており、そのことに関しては映画を見終わった後、一緒に観た障害を持っているメンバーさんもすこし理解しているようだった。なので、はな自体のキャラクター設定は私はそれほど気にならず、みんなと観に行ってよかった映画だと思いました。
一人で観に行って場合も、観てよかったと思う映画っす。

一応、本当に少しですがベットシーンもあるので、お子さんとご一緒の方は注意して下さい。めちゃくちゃ具体的に描かれているだけではないので、大丈夫とは思いますが。
# by daisukeozaki | 2012-08-13 19:45 | 映画 | Comments(0)